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平成30年問29 選択肢ア 民法⑥ 物権

平成30年問29 選択肢ア 民法 物権

 

*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。

 

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*問題

 

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約(以下「本件売買契約」という。)をA・B間で締結した場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

 

甲土地は実際にはCの所有に属していたが、CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた場合において、Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したときであっても、BはCに対して甲土地の引渡しを求めることができない。

 

*解説

 

1.図を書いてみよう!

 

まずは、初めて法律を勉強される方は「図を正確に書けるように」なることを目指しましょう。

 

その「正確に」とは、問題を考える上で、何を図に書けば良いのかの取捨選択を正確にできることを意味します。

 

今後は、積極的に図を載せていきますので、同じような図を書けるように練習しましょう。

 

 

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どうでしょうか?

 

ここを出来るようになればもう初学者は卒業と言っても良いと思います。

 

素晴らしいです。

 

2.原則論

 

さて、民法の基本は「原則論」から考えることです。

 

原則として、 BはCに対して甲土地の引き渡しを求めることはできますか?

 

答えは

 

・できない

 

ですね。これが原則論です。

 

理由は、問題文に、

 

甲土地は実際にはCの所有に属していた

 

とあるからです。甲土地を所有しているのは「C」なので、それを「A」が売って所有権を「B」が取得できる訳がないと考えるのが自然ですね。

 

もしこれが無条件に認められるなら、みんなひとのものでもとにかく売りまくって、お金に変えていく社会になります。それはダメでしょう。

 

これが原則論です。

 

3.例外論

 

(1)問題意識

 

ただ、問題文には、

 

CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた場合において、Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したとき

 

とあります。

 

つまり、登記簿上では「A」となっている以上、これを信じてBが売買契約に応じたのも無理はないと考えられます。

 

ここで考えるのが「民法」です。

 

つまり、

 

・自分のものだから勝手に売られたら困るという「C」

・登記上は「A」なんだからそれを信じたのに…という「B」

 

どちらを守ってあげるべきなのでしょうか。

 

この2人の利益を天秤にかけて考えていきましょう。

 

(2)考え方

 

さて、こういう時の考え方は決まっているので、ここは覚えてください。

 

(2-1)通謀はない

 

まず、ここで民法94条を思い出しましょう。

 

 

‐‐‐‐‐‐‐

 

第94条(虚偽表示)

1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

 

‐‐‐‐‐‐

 

 

民法94条2項によると、(第三者である)Bは保護されそうですね。

(ここの説明は一旦省略します。)

 

ただ、ここでの問題意識は「通謀」がないことです。

 

「AB間で売ったことにしておこう」といった記載がないので、

民法94条を適用する場面ではなさそうです。

 

 

(2-2)類推適用

 

とはいえ、通謀があるかないかの差はあれど、

今回の問題文の状況と通謀虚偽表示の場面は

似ていますね

本当はここを条文の趣旨がなんやかんやなどと

かなり厳密に議論すべきですが、

行政書士試験の場合、単に「似てる!」ってだけでOKです)。

 

なので、民法94条を使って考えることが認められています。

 

このように、

 

直接的に条文が予定してる場面じゃないんだけど、

似てるから適用しちゃえ!

って感じで条文を適用することを

 

類推適用

 

と言います。

 

以下では、民法94条2項の類推適用の問題として考えていきます。

 

(2-3)民法94条2項類推適用の要件

 

さて。

 

こういう状況で、「B」が保護される要件は以下の3つです。

 

①権利帰属の外形の存在があり、

②本来の権利者がその外形を作出または存続させ、

③第三者がその外形を信頼したこと

 

この3つを満たしていれば「B」は保護されます。

 

けど、正直かなり難しいですね。

 

なのでもっと噛み砕いて伝えると、

 

①本当の所有者でない人に「登記」があって

②それを本当の所有者が勝手に作ったり、そのまま放置していた場合で、

③新しく売買契約などで土地を買った人がその「登記」を信用したこと

 

ってなります。これならまだわかりやすいかなと思います!

 

(2-4)あてはめ

 

さて、(2-3)で示した要件を満たすでしょうか?

 

Aが登記簿上の所有名義人である甲土地

甲土地は実際にはCの所有に属していたが、CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた

Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したとき

 

このように①~③を満たします。

 

 

なので、Bは保護されます。

 

「BはCに対して甲土地の引渡しを求めることができない。」

 

とあるので、これは「妥当でない」となりますね。

 

 

補足

 

法学部生やロースクール入試を目指す方は、この問題の答案を書けるようになることが登竜門になりますね。

 

もし答案作った場合、DMで送ってもらえると嬉しいです。

 

 

応援しています。

 

 

*答え

 

妥当でない

  

 

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