平成29年問32 選択肢3 民法 改正点 連帯債務 絶対効と相対効
*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。
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*問題
共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。
*解説
1.図を書いてみよう
(1)図を書けません!
さて!
まずは、毎度恒例図を書いてみましょう!
ここについて生徒から
「先生!図が書けません!」
ってお悩み相談を貰いました。
最初の頃は、図を書くことが出来ない時期は、
もちろん僕にもありましたし、何を書いたらいいんだろう?って日々でした。
結局は「慣れ」によるところが多いかもしれないので、僕が示していく図と、実際に書いてみた図の違いを意識して学習を続けていくと良いと思います。
塾生は、実際に書いてみた図を送ってもらえると添削するのでどんどん送ってきてください。
ということで、今回の図はこちらです。
どうでしょうか?
もちろんこれだけが正解ではないので、他のものがあっても良いとは思います。
(2)連帯債務
「連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。) 」と問題文にあるので、連帯債務の問題と分かります。
この場合は、
・連帯債務をABをくくって示す
・負担部分を書く
この2つを書けば十分です。
むしろ、この二つの記載だけで解けるように「解き方を工夫」するのが良いと考えています。
(3)登場人物が何をしたのか
ここから問題文を読み解いていきます。
図を書けない根本的な原因は「問題文を読めていないこと」にあります。
では、問題文を読めているとは、どういうことかというと、初学者の内は、「登場人物が何をしたのかを把握すること」を意識して下さい。
今回の場合、
「弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め」
「Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない」
とあるので、
Aは「弁済の猶予」、
Bは「消滅時効の援用」をすることになりますね。
これを図に書いてください。
そうすると先ほど示した図になります。
まずは、こういう図を書けるように意識すると良いと思います。
2.問題意識
(1)何が問われてる?
では、今回の問題で問われていることは何でしょうか?
それはだいたい問題文の最後に書いています。
今回の問題文では、
「~の場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。 」とあります。
つまり、
Bが、Cに対して消滅時効を援用することができるかどうか
が問われています。
問題文を読むときはまずはこれを意識しよう。
せっかく「暗記」したのに、「解けない」となるのは、「問題文を読み解くこと」を苦手としているからです。
だから、これを踏まえると、お勧めの勉強方法は、過去問を解いて、問題文を読み解く練習をしつつ、知識の整理をすることです。
これがアウトプットを軸に置いた学習です。
(2)さ、考えよう!
ここまで問題文を読み解いてからが「知識」です。
ここからは暗記しよう。
今回は、Aが「弁済の猶予」をしています。
これがBの時効援用にどのように影響するのかです。
「弁済の猶予」とは、「債務の承認」のことで、具体的には、「お金を借りていることは認めるから、もう少し待っててほしい!」と伝えることです。
これは「時効の更新事由」です。
つまり、Aが時効を援用するためには、
この時からさらに時効に必要な期間が経過する必要があります。
さて、この事情は「B」に対しても影響するのでしょうか?
つまり、
・Aが時効を援用できないからBもできない(=絶対効)
・Aは時効を援用できないけどBはできる(=相対効)
このどちらになるでしょうか?
(なお、厳密な絶対効や相対効の意味はここでは置いておきます)
ここは覚えましょう。
正解は、後者です。
なので、Bは時効を援用できます。
*答え
妥当でない
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