平成26年問30 選択肢4 民法⑧ 債権総論 詐害行為取消権
*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。
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*問題
詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、債権者が複数存在するときは、取消債権者は、総債権者の総債権額のうち自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる。
*解説
1.図が必要ない問題
今回のような問題では、特に図が必要になるものではないです。
完全に「知識問題」です。
このような問題では
①聞かれていることを素早く把握し
②反射的に解答すること
が求められています。
このような知識を問う問題は、試験本番で「分からない場合」には、すぐに一旦飛ばすことを意識しましょう。まずは解ける問題を一通り解いた後に、残っている時間を駆使して考えるようにしましょう。
2.問題の所在
(1)何が聞かれているの?
では、今回の問題では何が問われているのでしょうか。
( 特に、問題文を読むのが苦手な受験生はこの記事をしっかりと読んでください。)
ここでコツですが、問題文を前半と後半でわけると分かりやすいです。
今回の場合は、以下のようになります。
★前半
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利である
★後半
債権者が複数存在するときは、取消債権者は、総債権者の総債権額のうち自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる。
これを順に考えることになります。
(2)前半について
まず、前半ですが、これは正しいです。
詐害行為取消権や債権者代位権は、「責任財産を保全する制度」と覚えましょう。
「責任財産の保全」がどういうことかと言うと、分かりやすく伝えると、
借金を負っている人が持っているお金とか土地をたくさん確保していこう!その方がちゃんと借金返してくれるもんね!
って意味です。
だからこそ、借金をおっているひとが持っている土地を他の人に売っちゃう行為を取り消したり(=詐害行為取消権)、他のひとにお金を請求する権利をもっているなら、その権利を代わりに行使すること(=債権者代位権)を法律はみとめているのです。
(3)後半について
一方、後半は間違っています。
取り消すことが出来る範囲については、原則として、取消債権者の債権額を限度として(大判大8.2.3)、他に多くの債権者がいる場合でも、それを考慮には入れないとされています(大判大9.12.24)。
これは詐害行為取消権の制度趣旨(=なぜその制度が存在するのかってこと)が「責任財産の保全」にあることから理解します。つまり、取消債権者(=詐害行為取消権を行使するひと)が、ちゃんとお金が返ってくるように考えでいくべきで、それは他に債権者がいるかどうかで変わることはないですね。
だからこそ、「自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる。」というのは誤りと判断できます。
*答え
妥当でない
*補足
さて、こちらを今回の問題と比較してみてください。
(同年 同問題 選択肢5)
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、取消しに基づいて返還すべき財産が金銭である場合に、取消債権者は受益者に対して直接自己への引渡しを求めることはできない。
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補足問題の正解
(下にあります)
➡妥当でない
理由
簡潔に言うと、
債務者が受け取りを拒んだら、詐害行為取消権の意味がなくなるからです。
債務者は、「どうせお金をもらっても、債権者に渡さないといけないなら、いっそのこと受け取らないでこう!」と考えてしまうかもしれません。
そうなると、せっかく詐害行為取消権を認めた意味がありませんので、制度の意義を全うするためにも、直接、引渡しを求めることが認められています。
以上!
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