*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。
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*問題
人の生命又は身体を害する不法行為以外の不法行為による損害賠償の請求権は、不法行為の時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
*解説
1.暗記しよう
さて。
モロに改正点です。
(「債務不履行」は今回説明しません!)
ここは暗記しちゃいましょう。
覚えるコツは2つを区別することです。
①生命・身体の侵害による損害賠償請求権
②①以外の不法行為による損害賠償請求権
いずれかによって期間が違ってきます。
簡単に言うと、
生命・身体侵害の方が守ってあげたいということで、
期間が長くなっています。
つまり、時効で消滅しにくいということです。
ここを頭に入れておこう。
2.生命・身体侵害のケース
まず、生命・身体を侵害したケースは以下のようになります。
①不法行為の時から20年
②損害及び加害者を知った時から5年(現行民法では3年)
のいずれか早い方
こちらは僕が受験した時の記述式で問われました。
たまたま直前に条文を見ていて運よく書けた記憶があります。
‐‐‐‐‐
平成29年問46
問)不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が、いつの時点から何年間行使しないときに消滅するかについて、民法が規定する2つの場合を、40字程度で記述しなさい。
答)損害および加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しないとき
‐‐‐‐‐
このようにドストレートで条文が問われることもあるので要注意ですね。
3.生命・身体侵害以外のケース
次に、2.以外の不法行為の場合です。
①不法行為の時から20年
②損害及び加害者を知った時から3年
のいずれか早い方
ポイントは2つです。
1つ目は、「3年」の数字です。
5年と比較して整理しましょう。
2つ目は、①が除斥期間ではなく、
消滅時効期間になったことです。
(ここは少し難しい場合スルーでも大丈夫です)
したがって、時効の完成猶予や時効の更新の対象にもなります。
今までは「除斥期間」だったため、
客観的に20年間経てば時効消滅したものの、
これ以降は時効の完成猶予などによって、
簡単には時効消滅しにくくなりました。
以上のように暗記しましょう。
*答え
妥当でない
「不法行為の時」ではなく「損害及び加害者を知った時」
*補足
さて、こちらを今回の問題と比較してみてください。
(記述式対策 Toaruオリジナル問題)
Aは、日ごろBに恨みを抱いており、いやがらせ目的でBの所有している自動車(200万円相当)に対して、故意に石ころ(1万円相当)を投げて窓ガラスを破損しようとした。そのため事前に、どういう石ころだと窓ガラスを破損しやすいのか入念に思考し、例えば、平成4年3月20日、当時自動車会社で働くCに対して、「Bの車の窓ガラスを何としても割りたいんだ。どうすれば良い?」など、相談の上、入念に作戦を練っていた。
そして、平成4年4月1日、作戦を決行すべく、Cに教わった窓ガラスを割りやすい高級石ころをもって、B宅へと向かった。案の定、ガレージには目当ての自動車が存在しており、その自動車の窓ガラス目掛けて石ころを思いっきり投げつけた。その結果、窓ガラスが破損し、Aの計画は成功した(=「行為①」とする)。
ただ、唯一の誤算は、上記計画時、窓ガラスの付近にBもいたようで、窓ガラスの破損した欠片がBにも飛び散ってしまい、それによりBが怪我をしてしまったことである(全治1週間の軽傷、「行為②」とする。)。さすがに、そこまでしようとAは考えていなかったことから、「あぁ、すまない」とBに駆け寄ったものの、「いや、訴えてやる!」と全くBは許してくれない。
とはいえ、今更Aも引き下がれずに、「いや、俺は何も払わないから」と一歩も引かぬ様子。ただ、Bは日ごろの激務から、全くこの件について法的な手続きを取らずにいた。
その4年後、平成8年4月1日、Bがやっと重い腰を起こして、Aに対して、「損害賠償して欲しい」旨を告げたところ、Aは「いや、今更言われても困るよ」と応じようとしない。
さて、上記事情の元、Bは、Aの行為①について損害賠償請求することは可能かどうか、説明しなさい。
答え
行為①のように、生命・身体以外の不法行為に関する損害賠償請求権は、
被害者又は法定代理人が( ① )
行使しないとき、又は
不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅するところ、
本件では、( ② )
その結果、上記請求権は消滅時効に掛かっており、Aが上記消滅時効を援用すれば、損害賠償請求することはできない。
Q. ①②を必要最小限の言葉で埋めてください。
①解説動画
➡ https://youtu.be/1bOIC5lrGr8
②「コンサル生限定記事」で解答・解説
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