平成27年問31 選択肢3 民法⑭ 代物弁済
*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。
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*問題
代物弁済(担保目的の代物弁済契約によるものは除く。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合、当該時計が他人から借りた時計であったとしても、債権者が、善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには、時計の所有権を取得できる。
*解説
1.何条の問題?
さて、まず問題文を読んですることは、
一体何について聞かれているのか理解することです。
そのためにも、問題文中の言葉を手掛かりに、
テーマを把握することが求められます。
今回は問題文中に、
債権者が、善意、無過失で、
平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには
とあるので、「即時取得」の問題と判断しましょう。
2.即時取得の要件
では、即時取得はどういうときに成立するのか暗記しているでしょうか?
こちらは覚えましょう。
‐‐‐‐‐
第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
‐‐‐‐‐
つまり、即時取得の要件は、
①動産を、
②取引により、
③無権利者・無権限者から、
④平穏・公然・善意・無過失で取得した者が、
⑤現実の引渡し・簡易の引渡し・指図による占有移転により当該動産の占有を取得した場合
といえる。
これを順に当てはめていくと、
①時計➡動産
②???
③他人から借りただけで所有はしていない➡無権利者
④善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したとき
⑤引き渡した場合
となる。つまり、「②」以外は要件を満たしていることが明らかである。
3.②については?
では、②についてはどうだろうか?
問題文には、
債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合
とある。これは「代物弁済」であるが、「取引」といえるのだろうか?
これは判例があって、
代物弁済も取引と言えると示しています(大判昭和5年5月10日)。
ということで、この選択肢は妥当である。
*答え
妥当である
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