平成27年問33 選択肢1 民法19 贈与契約
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*問題
Aは、自己所有の甲建物をBに贈与する旨を約した(以下、「本件贈与」という)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与契約は諾成契約であるから契約は成立するが、書面によらない贈与につき贈与者はいつでも解除することができるため、甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を解除することができる。
*解説
1.贈与
さて、今回の問題は「贈与」です。
贈与の場合、問われるのは550条をチェックしましょう。
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第550条
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
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ということでチェックすべきなのは、
①贈与が書面でされているかどうか
②履行が終わっているかどうか
ですね。
2.書面
で、この条文によると、
書面によらない贈与はいつでも撤回OKって書いてるので、
まず、書面があるんかないのかを
問題文から読み取りましょう。
今回は、
問題文に
「本件贈与が口頭によるものであった場合」とあるので、
書面ではないですね。
こういう風に、ダイレクトに
「書面ではない」と書いてくれれば良いのに、
「口頭」と言葉を変えてくるのがややこしいですね。
「書面でない=口頭」なので、今回の問題は書面ではないと判断しましょう。
ということで、原則、自由に撤回OKですね。
ちなみに、550条は改正されて表現が変わりましたね。
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(書面によらない贈与の解除)
第550条
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
‐‐‐‐‐
とりあえず、「撤回」も「解除」も同じでOKです!
3.履行が終わった
ただし、自由に解除できるとしても、
「履行の終わった」場合にはダメなんです。
ってことで、今回の問題文が履行前か後かを
判断する必要があるんだけど、
どうだろう??
問題文には、
「甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても」とあります。
ここをどう考えるかだけど、判例があります。
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不動産の贈与契約において、当該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、当該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終ったものと解すべきである(最判昭和40年3月26日)
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不動産の贈与では、登記を移したら履行前とは言えないんですね。
ということで、「妥当でない」と判断しましょう。
*答え
妥当でない
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