*こちらは「Toaru塾」で実施されている一問一答の解説部分です。興味があるひとはTwitterからDM下さい。
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*問題
生命侵害等に対する近親者の損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
他人の不法行為により死亡した被害者の父母、配偶者、子以外の者であっても、被害者との間にそれらの親族と実質的に同視し得る身分関係が存在するため被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、その者は、加害者に対して直接固有の慰謝料請求をすることができる。
*解説
1.判例知識
(1)知識を補充しよう
今回の問題は「知識問題」です。
民法では、
①事例型で知識を使って現場で解答を導くもの
②知識を問うているもの
の2つの出題パターンがあります。
このうち②は暗記で乗り切るべきものです。
この問題は②のパターンなので
これを機に知識を補充しておきましょう。
(2)最判昭和49年12月17日
まず条文を見ましょう!
‐‐‐‐‐
【民法 第711条】
他人の生命を侵害した者は,被害者の父母,配偶者及び子に対しては,その財産権が侵害されなかった場合においても,損害の賠償をしなければならない。
‐‐‐‐‐‐
つまり、「被害者の父母,配偶者及び子」は損害賠償できます。
では、上記で示したひと以外はどうでしょうか?
ここをこの問題は聞いています。
ここについて判例はこう示しています。
‐‐‐‐‐
文言上民法711条に該当しない者であっても、被害者との間に民法711条所定の者と実質的に同視できる身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、民法711条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求しうるものと解するのが、相当である
‐‐‐‐‐‐
この問題文は
この判例をドンピシャで聞いていますね。
ということで、
即答すべき問題です。
この問題を間違えた人は
必ず復習しておきましょう。
2.思考力で解く
次に、上記判例知識を知らなかった場合、
思考力で解きます。
まず、民法771条は
最低限知っておくべきです。
それを踏まえたうえで、
ほかのひとは「一切、損害賠償請求できない」のでしょうか?
民法ではそういう「極端な考え方」は
ほぼありません。
民法では、当事者の声をしっかりきいて、
妥当な結論を導き出す科目です。
今回では、
・条文にないひとでも精神的にショックを受けそうな人っているよね。そのひとが一切金銭的に報われないのもかわいそうだな。
・けど、条文から離れ過ぎちゃうのも良くないよな
という二つの天秤で揺れ動くことになります。
そこで出てくる結論は、
・条文には書かれていないひとでも
・「限定付き」で認めていこう
という考え方に至るはずです。
その限定の仕方を
先ほど判例が示してくれていますね。
・被害者との間に民法711条所定の者と実質的に同視できる身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者
そして、民法の試験で問われるのは、
この判断基準です。
こうした基準は
確実に覚えていく必要があります。
民法では、
①この基準に至る流れを理解した上で、
②この基準を丸暗記します
苦手な人は①を抜きにして、
②をしています。
たしかに、暗記は必要なのですが、
そこに至る「理解」を伴ったうえで
暗記していくことが求められます。
けど、その「理解」を受験生が独学でするのは
100%不可能です。
ということで、
その「理解」は
動画で全部見せちゃいます。
【2020年度】行政書士試験に独学合格するための全て
↓
https://www.youtube.com/playlist?list=PLFXkJ0EpuDAdGTTTgJ1t0Nt8PNmpj-T-6
ただ、「暗記」は受験生個人でしていただく必要はあるので
徹底的に動画を利用して、
沢山「暗記」してこの試験を乗り越えてください。
応援しています。
*答え
妥当である
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